じっくり語り語られてみよう エントリーNo.21

イベント 『じっくり語り語られてみよう』 に参加し,
作品について語っています.
作品へのネガティブな表記・ネタばれを含む場合がありますが,
イベントの趣旨に乗った上での記述とご理解ください.
他の方の語り記事一覧 → 『No.21: 「セラミックガール」 半PV
 

 
チヒロP
 
 
まず、語る側である私の事前情報を。
1:「アイマス」の遍歴は↓をご参照ください。
 
マイリストから見るアイマスにハマっていく過程
 
2:「チヒロP」の作品に関して、
「6階の少女」だけ観たことがありました。
この作品はすでに1度視聴済みです。
 
このような人間が語ります。参考にする・しないはおまかせします。
 
続いて、語られる側のチヒロPによる【語り視点の注文】を確認。
「どんどんやってくれたまえ! 」と言うのがニコマス界隈の基本的なスタンスですが、
P・見る専ともに、一人一人には個人的な趣味趣向というものもあると思います。
そこで、ニコマスの現状をある程度踏まえた上で、
この動画について「ここが好き・ここが嫌い」と言うことを通して、
ご自身が今求めるPV作品の方向性を語っていただきたいと思います
(ポイントとしては、選曲、アイドルの人選、765コマンドの使用、
内輪受け要素、ストーリー性の有無、テーマの分かりやすさ等)。
 
作者自身、変な動画だと思っていますので、
ほかにも気づいたことを自由に語っていただければ幸いです。
 
 
最初に動画の投稿者コメントにある「あらすじ」を転記。
 
突如、RRoDに見舞われたXbox 360
箱○で活動するアイドル春香の存在は危機にさらされていた。
そんな折、ニコニコ動画という新たなステージに活躍の場を見出す春香。
多くのニコマスPに愛された春香だったが、多忙を極め、
アイデンティティの揺らぎに苦悩する日々が続く。
等身大の天海春香16歳!!でありたいと願った春香は、
箱○への復帰を決意し…(以下省略)
 
以上、転記終了。
 
あらすじを読み、動画を観て感じた(ストーリー的な)ことは
○綺麗な舞台で踊る春香と歌詞とのギャップ
○1:40以降の春香の表情に何を想うか
の2点。
 
前者については煌びやかな3D空間で踊る春香に対して、
箱○世界にいる春香が挿入される部分。
この部分で歌詞をはっきりと表示している。
・「私は恋をしたいけど」
・「恋をしたいから」
 
あらすじとも絡めると「等身大の天海春香は恋をしたい」と感じた。
一番最初の春香がいた場所が、EDの場所であることで
さらにそのことを強く意識させられた。
 
そして、後者。
箱○に戻った春香が何も言わずこちらを見つめる。
どこまでもまっすぐに。
目は口ほどに物を言う。この目に何を想うのか。
彼女の意志を無視して、春香を振り回したことに対して。
春香は実際に何か言葉を発することはしないが、
おそらくこの作品を観た人が感じた「罪悪感」みたいなものではないだろうか。
たぶん、作品を作ったことがあるプロデューサーの方が
うしろめたさを感じやすいのかもしれない。
製作過程はあまり知らないが、MADである以上、彼女たちを
切り貼りしているのだろうからなおさら。
もちろん、ニコマスで楽しんでいる私も同類で、
春香に対して申し訳ない気持ちを抱いた。
 
しかし、その懺悔はまさしくそれぞれの人の胸のうちで起こったこと。
「作り物」なのだ。
春香の恋する気持ちも同様にゲーム「アイドルマスター」のプログラムにすぎない。
では、その作り物を本物だと思ってしまう源は何か。
それは「その人たちの中で彼女たちが生きている」からなんだと思う。
 
学生時代に「serial experiments lain」というPSのゲームをやったことがある。
(以下ネタバレなんですけど、もう10年以上前のゲームだしいいですよね?)
 
玲音という少女が分裂症の疑いでカウンセリングを受けている設定で、
プレイヤーはそのカウンセリングの状況やカルテ、
玲音の日記、医師である柊子の日記などの断片的な「記録」を
ただただ再生していき、玲音とその周辺にどんなことが起こったのかを
整理して「記憶」していく。
そして、最後に玲音はこう告げる。
「これからはずっと一緒だね」
と。
つまり、玲音という少女の人格がゲームを通してプレイヤーの心に
刻み込まれる(インストールされる)という仕組みである。
 
結構、特殊なゲームのように思えるけれど、小説や映画、アニメ、マンガ、
他のゲームでも同じような体験はしていると思う。
要するに物語の補完。
語られていない部分を読者や視聴者やプレイヤーは自分で補ってるわけで。
つまり、「ニコマスに連れてきたアイドル」=「自分の中に生きるアイドル」
となって、まさしく夢のような世界を楽しんでいる。
夢から覚めてアイドルは黙ったまま、こちらを見つめる。
見つめるアイドルが何を思う(と推測する)のかは人それぞれだろう。
私は前述のように、自戒の念を抱いたけれど。
 
 
ここからが本題です。(前振り長すぎ)
ニコマスの現状を考えると、視聴層の拡大が今後のアイマスSPの発売で
若年層を取り込めるかなというところだと思います。
で、若年層に訴求するという部分に特化すると
・アイドルはオールスターでにぎやかに・選曲は中毒性のある電波ソング・切り貼りは多めで目新しさを・内輪受けやストーリー性を廃してわかりやすく・サムネとタイトルで釣る
よし!!!これで勝つる!!!
ごめんなさい。うそです。
1つの方向性として間違ってないと思いますが、
私の望む方向性ではありません。
 
 
アイマスでは多様化・供給の増加によって
すでに個人では全体を把握するのが困難になっています。
そうなると相対的に再生数は減っていき、
そこを気にする人は去っていくのではないかと。
お隣さんの話ですが、「実況プレイ動画」は現在、
膨大な数の投稿があり、そのほとんどが再生数2,3桁どまりです。
コメントも100いかないものが大多数で、過疎が問題視されています。
でも、再生数やコメント数を気にしない人なら作り続けるんだと思います。
その人は「作ることが好き」だからです。
結果はどうでもよくて、作ることそのものに幸せを感じることができているなら
観るだけの私からは何も望みません。
もちろん再生数を目標にして作ることを否定するわけではありません。
ですが、趣味でやっていることですから楽しんでやる方が良いと思うんです。
 
様々な目的で作られた多種多様な作品が毎日のように作られていますから、
見る方にとってはそう簡単に飽きることは少ないと思います。
でも、作っている人は飽きるときもあるのではと思います。
そうなったら、無理に作らないでほしいです。義務感でやらないでほしいと思います。
作者が楽しんで作っていることが動画からわかる作品
これが私がPさんに望むことです。
 
 
(追記)
最初にこのお題を見たときに
「個人の好き嫌いを聞いてどうするんだろう?」と思いました。
あなたが見たい作品のビジョンを語ってください、と言われてとても悩みました。
なぜならば、「これこれこういう作品を観たいです」と言った場合、
「では、ご自身で作ってください」
と返されるに決まってます。
なにせ「どんどんやってくれたまえ!」の世界ですからね。
昨今ではすぐに包囲網まで敷かれる始末…。言葉には気をつけないといけません。
 
私がアイマス動画を観るときに思っていることを書いてみます。
・アイドルにこだわらない
・どんな曲でも選り好みせず、まず聴いてみようと思う
・エフェクトやカメラワーク、抜きなどの演出を受け入れた上で、
どういった意図で使っているのか考える
・作者が示したストーリー性を理解しようとする
ざっとこんなところです。
 
推測ですが、こういう考えの見る専は多いのではないでしょうか。
だから「いいぞ!もっとやれ!」という空気があるんじゃないかと思います。
 
となると、私にはチヒロPが望むような「disる」ことができないという結論に至ります。
この部分においては御期待に沿えず、申し訳ないと思います。
ですが、disることはできなくても
 
・P自身がこだわった部分をちゃんと見ているかどうか
・ストーリーにおいてどのような視点の差があるか、なぜその違いが生まれたのか
・P自身が作品に込めたメッセージが伝わっているのか
 
以上の部分を私の語りから判断材料として得ていただけるなら幸いです。